こんにちは。お客様からよく質問されるリサイクルに関する話題を見つけたのでお届けします。

さて今日は、「高物性リサイクル品へ前進?静岡大がCFRP再利用技術を開発」というお話です。

昨日、CFRPのリサイクルに関するニュースを読みました。
《経済》 静大工学部が技術開発(中日新聞)

CFRPは、現在リサイクルが実用化されておらず、産業廃棄物として処分されています。その理由はCFRPに使われているエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂が、
1.再加熱しても溶けない→そのため再成形出来ない
2.通常の薬品を用いても溶けない→そのため素材を分離出来ない
からです。

これまでのCFRP成形品リサイクルといえば、粉砕・熱分解して繊維を取り出す方法が知られています。ただし、粉砕すると取り出せる繊維の長さは短く、1mmにも満たないほどです。

ちょうど昨年の5月には「常圧溶解法」を用いるリサイクル方法がニュースになりました。
日立化成工業、CFRPから繊維を取り出せるリサイクル技術を確立—消費エネルギは新品製造時の1/4(Tech-On!)
繊維の長さは粉砕するよりも長く取り出せるようですが、それでも連続繊維としてではないため、マット状にして再利用することになります。記事によると、繊維を取り出すのにかかる時間はおよそ10時間・・・かなり長いですね。

今回、静岡大工学部が開発したリサイクル法の注目すべき点は
・織物のまま取り出せる(繊維が長い)
・かかる時間がわずか20分
かと思います。

ところで、2009年時に同研究室の技術では樹脂も回収出来たはずですが、今回はどうなったのでしょうか。
炭素繊維強化プラスチック(CFRP)のリサイクル技術を開発(NEDO)

今後気になる点は、
・通常、成形品は織物だけではなくUD材も使用されている。UD材は取り出すとどうなるのか?
・長繊維を生かすとすると、リサイクル前の成形品より小さなものへしか再利用出来ない(例.20cmの板から取り出した繊維は、50cmの板を作るには足りない)。大型部品への再利用は難しいのか?
・成形品に含まれる45°方向や90°方向の繊維は特に短いことが多い。結局チョップしてしまった方が汎用性が高いのか?
です。

弊社はプリプレグを使った長繊維を用いる成形を行っているので、繊維が長いまま回収される技術が発展するのは個人的にとても興味があります。みんなが安心して使える材料になるよう、早くリサイクル技術が確立することを願います。

CFRP製品にご興味・ご関心のある方、ぜひ一度弊社へお問い合わせ下さい。

炭素繊維強化プラスチックを材料設計から一貫した製品作り
CFRP 加工」のエーシーエム

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