フランス出張その4 ブレーディング

こんにちは。昨日、お花見するにはまだ時間がかかると書いていたのですが、今日はずいぶんと桜の花が開いていました。今週末がお花見のピークとなるでしょうか。

さて今日は、「フランス出張その4 ブレーディング」というお話です。

今回のフランス出張で最も印象深かったもののひとつが三次元複合材です。我々が参加したSEICO 12でもテーマの一つとして取り上げられ、ブレーディングを使った量産性の研究や、三次元複合材の強度評価などが研究発表されておりました。ちなみにブレーディングは、三次元複合材である
1.編物
2.組物
3.織物
の2にあたります。

日本ではプリプレグによる積層部品を見る機会が多く、あまり三次元複合材を意識して見たことがなかったのですが、JEC Europeでは各所で展示がありました。

Lamborghini社の「The Aventador LP 700-4 monocoque」。説明書きによると、ブレーディングはRTM成形により、ルーフピラーや側面補強に使われたようです。

Munich Composites社の自転車「BRAID」。

平織や綾織とはまた違う雰囲気で、意匠性に優れていますね。

superTEX社の「splineTEX」を用いたテーブル。ホースのように柔らかく自在に曲げて硬化させられるそうです。

昨日ご紹介した自動積層技術のように、ブレーディングは必要な材料分だけ使うことでプリプレグよりも「材料の捨て」が少なく、効率よく材料が消費出来る印象です。物性としては、組物構造なので積層構造よりも層間の靭性や強度が高いとされており、衝撃吸収材としての用途にも利用されているようです。そういえば、トヨタ社のLFAにもブレーディングが一部採用されていた記憶があります。

繊維を平たく使うだけでなく、組んだり編んだりとCFRPも奥が深いなぁとつくづく思いました。

CFRP製品にご興味・ご関心のある方、ぜひ一度弊社へお問い合わせ下さい。

炭素繊維強化プラスチックを材料設計から一貫した製品作り
CFRP 加工」のエーシーエム

フランス出張その3 積層の自動化

こんにちは。今日は入学式の日でしょうか。ACMの近所の桜は徐々に咲く気配を見せておりますが、お花見をするためにはもう少し時間がかかりそうです。

さて今日は、「フランス出張その3 積層の自動化」というお話です。

CFRPの材料となるプリプレグを積層する場合、通常はシート状のものを人の手で一枚一枚重ねていくゆえ、時間がかかりかつ積層する繊維方向によっては材料の歩留まりが悪く(つまり捨てる部分が多くなってしまう)、コスト低減が難しいです。

これを解決するため、テープ状のプリプレグを任意の形状や方向に配置出来る自動積層技術が発達し、JEC Europeでは様々なブースで自動積層の機械および成形品が出展されておりました。いわゆるATL(Automated Tape Laying)やAFP(Automated Fiber Placement)というものです。

Fokker社のファイバープレイスメント。

超音波を熱源とし、熱可塑性樹脂のプリプレグを積層していくそうです。

MAG社のInlet Duct。説明書きによると、こちらは3.2mm幅(1/8インチ)の熱硬化性(エポキシ樹脂)プリプレグを使用したそうです。

いつも手作業しか見ない我々からすると、効率よく自動で多方向に繊維を配置していく技術はとても新鮮でした。

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フランス出張その2 脱オートクレーブ

こんにちは。昨日の大嵐も去り、春らしく段々と暖かくなってきましたね。

さて今日は、「フランス出張その2 脱オートクレーブ」というお話です。

先日お話したとおり、世界最大規模の複合材料展示会ことJEC Europeへ行ったわけですが、まず目についたのがオートクレーブを使わずに成形する「脱オートクレーブ(Out of AutoclaveまたはOoA)」に関する展示です。

弊社でもオートクレーブを使わずに真空バッグで成形しますが、オーブンのサイズで製作可能なサイズが制限されますし、バッグを作るときに使うシール材やフィルムは使い捨てなので、大きな製品を繰り返し作るには難があります。

展示会場では、使い捨てフィルムに替わって、シリコンを用いた再使用可能かつ大物部品にも対応可能なバッグを各社が提案していました。

Axson社のシリコンバッグを使った実演。

Piekenbrink社の展示もやはりシリコンバッグ。

Smooth-On社の展示は、シリコンスプレーマシーンを用いて型にスプレーするだけでシリコンバッグが作れるというもの。

航空機や風力発電用途など、CFRP部品が巨大化していくのに合わせてオートクレーブを大きくするわけには行かないので、こういった方法で一体成形部品を作るのですね。なるほど!

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フランス出張その1 JECへ向かう人々

ごぶさたしております。先週はフランスへ出張し、SAMPE EUROPEが主催する国際会議SEICO 12への参加、および世界最大規模の複合材料展示会であるJECを見学してきました。

というわけで今日は、「フランス出張その1 JECへ向かう人々」というお話です。

フランスのパリにて毎年行われるJEC Europe、今回初めて見学をしました。プレスリリースによると、

展示面積 49,500m2
出展者 1,150組以上
入場者 30,000人以上

とまさに複合材料にフォーカスした展示会としては世界最大規模です。ちなみに東京ビッグサイトの展示面積は東1~6ホールを合計して約52,000m2ですので、大雑把に言えば東ホール全てを使うようなものです。国際ロボット展ですら東1~3ホールを使うのみですから、それよりはるかに大きな展示会、しかも複合材料をテーマにしたものですから、大変貴重です。当然、この展示会のために世界各国から人が集まりますので、会場は人、人、人!

朝9時だというのに早くもこの人数!

お昼になっても人は途絶えませんでした。

会場は3日間、朝9時から夜6時までやっていましたが、とても全て回りきれませんでした。これからそのご報告を兼ねて、ブログで紹介していく予定ですので、どうぞお楽しみに!

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先端材料技術展無事終了!

ごぶさたしております。先週はほぼ東京ビッグサイトにおりましたため、更新が滞っており申し訳ありません。

というわけで今日は、「先端材料技術展無事終了!」というお話です。

おかげさまで先週東京ビッグサイトにて行われていた先端材料技術展2011も無事終了いたしました。噂によれば、例年の3倍もの来場者数だったそうで、エーシーエムのブースも常にお客様で賑わっておりました。やはりボーイング787の影響か、はたまた電気自動車への期待か、CFRPへの注目度が大変高まっているのを感じました。

なかでも、CFRPの生産性をアピールしていた企業のブースが人気だったように見えます。わずか数分でCFRPが成形出来るというデモンストレーションには人だかりが出来、多くの方の目をひきつけていました。

弊社は長繊維を生かした設計で、軽量・高剛性・高強度を表現したベンチを製作しました。東レ社の高強度繊維も使用しておりますので、お向かいのブースにいらした東レのお姉さまに協力していただき、ハイこの通り!
(隣で嬉しそうにしているのは弊社社長です。)

女性でも軽々持ち上げられる3mのベンチは、展示会で壊れることもなく、3日間静かにお客様の体重を支え続けておりました。(もちろん6人座っても大丈夫!でした。)

延べ数百名のお客様がエーシーエムのブースにお立ち寄りいただいたようです。たくさんのご来場誠にありがとうございました。

ベンチ接着の様子

こんにちは。テレビ放映以降、このホームページへのアクセスも増え、ブログ担当者としては真面目に更新しなければ・・・と思い、今週は早速更新です。

というわけで今日は、「ベンチ接着の様子」というお話です。

弊社は11/9(水)~11(金)まで東京ビッグサイトにて行われる「先端材料技術展2011」に出展いたします。展示の目玉として準備を進めているのが、3mのCFRPベンチです。春に出展したもの(詳しくは前の記事を参照下さい)の改造をして、大人5人が座れるようにしました。驚くことに、座面の板厚はわずか0.5mmです。先日のテレビ放映でご覧になった方もいるかと思います。

さて、先日接着中に撮影したこのベンチ、何やら座面中央に注意書きがありました。

右下にある括弧書きがポイントです。いつもさわって壊してしまうのは社長なんですよね・・・社員はよく知っているのです。

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CFRPサンプル用の棚が新しくなりました

こんにちは。このブログも気づけば花壇の話ばかり・・・自然のことばかり書いていないで、たまには会社について書いてみましょう。

というわけで今日は、「CFRPサンプル用の棚が新しくなりました」というお話です。

ACMの会議室にある棚にはCFRPサンプルがたくさん並んでいるのですが、さすがにそろそろ乗せるところがなくなってきましたので、この度新しい棚を購入しました。

ACMより車で15分ほどのところにある、某北欧系大型家具屋さんで選んだDIYな棚を組み立てること1時間、遂に完成しました!

これで更なるサンプルを並べることが出来る・・・と思ったら既に満員の様子。うーん、もう一棚必要でしょうか。

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技術情報交換会のご報告

ごぶさたしております。毎日暑いですね。

さて今日は、「技術情報交換会のご報告」というお話です。

昨日は品川で行われた先端材料技術協会(SAMPE JAPAN)主催の技術情報交換会に出席しました。内容は、

1.レクサス LFAの炭素繊維コンポジット製構造体の開発
(トヨタ自動車株式会社 片平氏)

2.新幹線車両における先端材料・技術の最新情報
(公益財団法人鉄道総合技術研究所 辻村氏)

3.東京スカイツリーの施工概要
(株式会社大林組 田村氏)

4.複合材の乗り物開発40年
(株式会社ジーエイチクラフト 木村氏)

というCFRPだけではない最先端の構造やプロセスについてのお話でした。

個人的には、スカイツリーの施工の様子が大変興味深かったです。スカイツリーそのものの構造検討だけで施工できるわけではなく、巨大な部品をどう運ぶか(道路交通法により一度に運べるものの重量が決まっている)、どこに置いてどう組んでいくか(施工場所は決して広くないうえに高さはどんどん増していく)、短期間でどう組めば効率が良いのか(施工期間約3年半)、あれだけの高さで揺れが起きた場合の対策はどうするのか(実際3.11が起き、対策が功を奏した)・・・などなど、ものを作る際に何が起きてどういう準備が必要かという、流れ全体を把握したプロセス作りの重要性を再認識しました。

懇親会は、ビルの30階で行われ、遠くにスカイツリーが見えました。これまでは日々高くなっていくスカイツリーをのん気に眺めているだけでしたが、世界一の新タワーはまさに知恵と技術の集結によって造られていることを学びました。

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炭素繊維とリサイクル

こんにちは。関東は遂に梅雨入りしたようですね。雨と寒さでついつい憂鬱になってしまいます。

さて今日は、「炭素繊維とリサイクル」というお話です。

ニュースでご存知の方もいるかと思いますが、CFRPから炭素繊維を取り出すリサイクル技術の開発が進んでいるようです。炭素繊維を作るには、原料となるポリアクリロニトリル繊維や石炭の副生成物(ピッチ)を高温で焼くために大きなエネルギーが必要なので、リサイクルによって炭素繊維が再利用出来るとなれば、環境面で大きなメリットとなりますし、コスト低減も期待出来ます。

注目すべきは「長繊維の回収」に取り組んでいることだと思います。CFRPは文字通り樹脂を炭素繊維で強化しているので、言ってしまえば短い繊維でも長い繊維でも、樹脂に入っていればCFRPと呼べます。しかし機械的物性を求めるならば、当然長い繊維が入っていた方が有利なので、リサイクルによって元の繊維と遜色ない長繊維が回収出来れば、いわゆる「強くてしなりにくい」CFRPのリサイクル品の誕生は近づくかもしれません。

今日は久々に時事ネタを書きました。このブログは毎日100人くらいの方が見ているので、花壇の話ばかりしていないで(?)、たまにはCFRPについて真面目に書こうと思った次第です。それではまた。

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東京ビッグサイトでの展示へ向けて

こんにちは。今日は祝日ですが、ACMは営業しております。ACMのゴールデンウィークは、明日4/30(土)~5/5(木)となりますのでよろしくお願いいたします。

さて今日は、「東京ビッグサイトでの展示へ向けて」というお話です。

弊社は5/18(水)~20(金)に東京ビッグサイトで行われる「軽量化・高強度化技術展2011(MALSEC)」に出展いたします。同展示会は昨年も出展しておりますが、今年は更にパワーアップした展示をする予定です。

今年の弊社ブースの見どころは何といっても

「3mのベンチ」

です。強度と剛性に優れたCFRPの性能を上手く生かして、皆様があっと驚くようなベンチを試行錯誤しながら製作中です。

今日は特別にそのベンチの一部を公開します・・・こんな感じです!

どんなベンチになるかは当日のお楽しみ・・・皆様のご来場をお待ちしております。

MALSECを含む、新たな価値をプラスする材料と技術の複合展「N-PLUS」公式ホームページはこちらからどうぞ。

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