こんにちは。景気が良くなったのか、弊社へは日々お引き合いが続いています。忙しいとなかなかブログも更新できないのですが、先日の東京ビッグサイトでお会いした方々がこれを読んでいるのかと思うと、もう少し頑張らなければなぁと反省しています。
さて今日は、「擬似等方性」というお話です。
CFRPだけに限った話ではないと思いますが、英語の文献に出てくる専門用語をスラスラと理解出来るようになるにはかなりの経験が必要です。ヒヨッ子の私はまだまだ辞書が手放せません。
今日はこの単語が出てきました。
quasiisotropic
いかにも日常生活で見かけない単語です。
quasi:擬似の
isotropic:等方性の
ですので、
quasiisotropic:擬似等方性の
ということになります。
「擬似等方性」はCFRPを語る際によく出てくる単語です。CFRPは鉄やアルミと違い、方向によって物性が違う異方性材料ですが、繊維をうまく組み合わせることで0度方向と90度方向を同じ物性にしたり、それ以上の方向も同じ物性にすることで、等方性材料に近づけることが出来ます。つまり、擬似的な等方性材料になるのです。
360度全ての方向を強くするのは難しいですが、ある程度方向を絞って必要な箇所のみ強くする、それがCFRPの正しい使い方といえるでしょう。
CFRP製品にご興味・ご関心のある方、ぜひ一度弊社へお問い合わせ下さい。
炭素繊維強化プラスチックを材料設計から一貫した製品作り
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CFRP 加工」のエーシーエム
ごぶさたしております。気付いたらこのリニューアルしたホームページも1年が経ちました。日々様々な方面からのお問い合わせが増え、インターネットってすごいなぁと実感しております。
さて今日は、「材料の供給とは?」というお話です。
日本の炭素繊維メーカー(T社)が、ボーイングに続きエアバスと、引き続き航空機向けの材料供給に明るいようですね。ところでこの件について、とある記事にはこのメーカーが「複合材料を供給する」ことになったと書いてありましたが、どうも正しくないように思います。
皆様が想像するカーボン、つまりCFRPが出来るためには
1.糸(炭素繊維)
↓
2.プリプレグ(炭素繊維に樹脂を含ませ、半硬化させたもの)
↓
3.CFRP(炭素繊維強化プラスチック)
の段階があります。プリプレグは、お菓子でいうなら焼く前のパイ生地みたいなもので、オーブンで焼いて初めて製品(CFRP)が出来上がります。つまり、「複合材料」となるのは3のCFRPの状態を示します。
T社が販売しているのは糸やプリプレグであり、これから糸だけでなく供給するとしたら複合材料というよりプリプレグではないのかな・・・と思って公式ホームページを見るとやはりプリプレグの供給について書かれていました。
ニュース記事を読んだときは、T社がさもCFRP成形品を売るかのような印象でしたが、実際はその材料となるプリプレグを供給するので、「複合材料を供給する」のとは区別すべきではないかと思ったのでした。
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ごぶさたしております。ACMのチューリップたちは玄関前に移動して、お客様をお迎えしております。
さて今日は、「CFRPの耐熱性」というお話です。
世間ではスペースシャトルの話題でにぎわっていますね。航空宇宙分野は、高い性能を持った複合材が大活躍している場所です。たとえば、汎用材料ではもたない高温環境にさらされる箇所には、1000℃以上に耐えられる炭素複合材などが使われています。
それと比較すると、CFRPは複合材とはいえ樹脂製品ですので、そこまでの耐熱性はありません。弊社でよく使われるプリプレグは、130℃硬化型であったり、用途によっては180℃硬化型も使います。130℃や180℃という温度は硬化温度ですので、製品になって実際に使われる環境温度としては、おおよそ100℃程度までが許容と考えています。ただし、応力のかかる大きさや、その温度にさらされる時間など、CFRP製品の耐熱性はその使用環境に大きく左右されますので、前述しました100℃という数字はあくまでもひとつの目安です。場合によっては80℃や90℃で製品に変化が起きる可能性もありますので、設計段階から適切なプリプレグを選ぶことが重要です。
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こんにちは。今日は少し暖かくなりましたね。最近のエーシーエムは量産品から試作品までのお引き合いが続き、徐々に忙しくなってきました。
さて今日は、「CFRPってハイテク?ローテク?」というお話です。
弊社には日々お客様が見学に来られます。先端材料といわれるCFRPの会社だけに、さぞかしハイテクな期待を抱いて来られる方は、たいてい見学後にこうおっしゃいます。
「CFRPって手作業で作るんですね!」
そうなのです。CFRPはプリプレグを1枚1枚重ねて作るので、とても手間がかかります。プリプレグの厚みを0.2mmと仮定すると、20mmの板を作る場合には
20÷0.2=100(枚)
のプリプレグをせっせと重ねることになります。
プリプレグはロール状で保管されているので、当然1枚1枚切り出す作業も必要です。
1m角の板ともなれば、100枚のプリプレグを切って重ねるのはかなりの大仕事です。層間の空気を抜いたり、異物が入らないよう気を配ったり、成形の作業には慎重さも大切です。
CFRPは航空宇宙やスポーツ用途でよく聞く素材でもあり、華々しいイメージかもしれませんが、実は意外と地道な作業によって作られているのです。
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こんにちは。最近また寒くなりましたね。
以前も書いたかもしれませんが、今日は「CFRPの熱的性質」についてお話します。
製品の使用環境は、設計する上で大切な情報です。なぜならば温度環境は製品の強度への影響はもちろん、寸法へも影響を与えます。したがって、その製品が常温で使用されるものなのか、はたまた高温部に使用される部品となるのかを理解した上で設計を進めることが重要です。
CFRPとアルミニウムは強度や重量でよく比較されますが、線膨張係数は大きく異なります。一例を挙げますと、
CFRP 0.2×10^-6/℃(炭素繊維・樹脂により異なる)
アルミニウム 23.7×10^-6/℃
です。したがって上記の場合、1000mmの板が1℃温度上昇したとすると、CFRPは+0.0002mm、アルミニウムは+0.02mm長さが変化します。
日常生活で考えればほんのわずかな変化かもしれませんが、製品設計において10000万分台と100分台の寸法変化は大きな違いといえます。 温度による寸法変化が小さいCFRP、まだまだ用途拡大のチャンスがあると考えられます。
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こんにちは。最近はあまりCFRPの話題を書いていないので、たまには真面目に(?)書こうかと思います。
そんなわけで今日は、「Kについて」というお話です。
CFRP製品といえば、やはり表面の織目模様を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。通常の製品は平織のプリプレグを使用することが多いですが、用途によってはまれに綾織を使用する場合もあります。
さて、その平織プリプレグ(クロスと呼んだりします)にも「1K」や「3K」など、色々な種類があります。これは、フィラメント数のことで、1束あたり何本の炭素繊維が使われているかを示しています。つまり、
1K:1束あたり1000本
3K:1束あたり3000本
の炭素繊維が使われているという意味です。
したがって、1Kクロスと3Kクロスでは1束あたりの本数が多い3Kクロスの方が、織目が大きくなります。 6K、12Kともなると、同じ織物でも随分と印象が違いますよ。
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こんにちは。今年になってブログを更新しない怠け癖がつきつつあるので、早いところ直さなければ!と焦っております。
というわけで今日は、「CFRPのバリについて」というお話です。
CFRPは機械加工できるの?という質問をよく受けます。結論から言えば、金属と同様の機械加工が出来ます。しかし気をつけなければならないのは、CFRPは積層された繊維の方向によって加工性に大きな違いがあるということです。例えばこれをご覧下さい。
ヤシの木もびっくりのバリバリ!
実はこれ、加工途中のCFRPです。炭素繊維の方向に逆らって加工したため、このようなバリが出ています。気をつけないと手に刺さるので危険です・・・。
CFRPには繊維方向があります。その方向によっては加工時にこのようなバリが出てしまうので、製品に見合った加工条件を選ぶことはもちろん、あらかじめ加工まで考慮に入れた適切な積層で成形をすることが重要です。
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お久しぶりです。社内で「ブログ更新しないの?」と痛いところを突かれてしまったので、ネタを作ることにしました。というのも、弊社にて現在生産中の製品はまだ公に出来ないものも多く、皆様にお見せ出来ないのです。
というわけで、今日は「ACM社特製ビジネスグッズ」というお話です。
過去にこのブログで様々なCFRPグッズを紹介してきました。しおり、ものさし、名刺ケース、アタッシュケースなど、いずれも試作品ですが、社内で愛用している者も多いです。
さて今日はこんな品をご紹介します。
以前紹介したしおりとは形が違います。
クリップ状になっているので、ページにはさむことが出来ます。以前ご紹介したしおりでは、使っていくうちにページが破れてしまうことがあったので、それを解決するためにこの形が生まれました。
ちなみにこのしおりもやはり試作品で、社内で少数生産したとても貴重なものです。私はメモ帳にはさんで使っているので、打ち合わせなどで目にしたときに声をかけていただければお見せ出来ます。どうぞお気軽に!
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こんにちは。今日もいい天気でしたね。会社の近くでは猫が日なたで会議を行っていましたよ。
さて今日は、「CFRPの機械的物性は炭素繊維と樹脂だけで決まる?」というお話です。
まず炭素繊維に様々な種類があります。そして繊維によって強化される樹脂にもいろいろあります。では炭素繊維と樹脂が決まれば機械的物性も決まるかというと、今度は繊維体積含有率(Vf:全体積中にどのくらい繊維が含まれているか)によって違いが出てきます。
つまり、同じ炭素繊維と樹脂を使っていても、その炭素繊維と樹脂の体積割合によって機械的物性が異なるということです。
そのほか、当然ながら積層構成によっても機械的物性は大きく異なります。
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こんにちは。日が暮れるのも随分早くなりましたね。
さて今日は、「オートクレーブ法と真空バッグ法」についてのお話です。
皆さんの中にはCFRPの成形法に関して
「プリプレグを使う→オートクレーブ法」
という図式を頭に思い浮かべる方がいるかもしれませんが、これは必ずしも正しくありません。実際、弊社はオートクレーブを使っていません。
ではどうやって成形しているのかといえば、熱風オーブンを使っています。大ざっぱに言えば、布団圧縮袋を使って布団をぺたんこにするように、真空バッグの中の空気を抜くことで、積層されたプリプレグへ均等な圧力がかかります。そして、それをそのままオーブンに入れて加熱硬化させることでCFRPが成形されます。(詳しくは技術紹介を参照下さい。)この方法は「真空バッグ法」と呼ばれたりします。
真空バッグ法は、オートクレーブ法に比べて設備投資が少なくて済むというメリットがあります。どちらの成形法も均等に加圧することが出来、質の高い成形品が得られ、成形の再現性が良い一方、生産性が低く、大量生産に向かないデメリットもあります。
成形法に関しては、ダウンロードより閲覧出来る資料「CFRPの基礎知識」の4ページ目にもありますので、ぜひ参考にどうぞ!
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